知って得する!

吹替王国 ムービープラスでは、「もっと吹替が観たい!」「あの声優さんの声のバージョンが観たい!」という皆様の声にお応えすべく、声優にフィーチャーして映画をセレクト&一挙放送。

吹替王国SP2018 声優:羽佐間道夫

2018年5月某日。羽佐間道夫さんをお迎えし、『ミッドナイト・ラン』の追加収録を行いました。
1992年にテレビ朝日 日曜洋画劇場で初放送された『ミッドナイト・ラン』は、幻の名吹替版にしてDVD未収録の貴重なバージョン。テレビ放送時にカットされた15分程のシーンを今回追加録音し、本編ノーカットで『ミッドナイト・ラン【地上波吹替追録版】』として7月にテレビ初放送します。

26年ぶりの『ミッドナイト・ラン』吹替

── 『ミッドナイト・ラン』の吹替えを26年ぶりにやられて、いかがでしたか?

時代も変わりましたし、仲間としてやってきた連中と、今こうして揃うことってなかなかないんですよね。自分のことはさておき、声を聴いていたらみんなあんまり変わらないね。池田(勝)も富田(耕生)も全然変わってないと思ったよ。

── 初めて『ミッドナイト・ラン』をご覧になった時の印象は?

池田君のやっているロバート・デ・ニーロは、それまで僕が結構やってるんですよね。それを逆転させたキャスティングっていうか。僕は、チャールズ・グローディンが大好きなんだよ。なぜかというと、目がたまらないの。なにもしゃべってないんだけど、娘に会うシーンとか、最後に空港でお金を渡すところとか、なにも言わないんだけど目で全部芝居しちゃう。すごい役者だなと思って。すごい役者に巡りあったなって。ちなみに、僕は『ベートーベン』と『天国から来たチャンピオン』でも彼を演じています。

── 今回、『ミッドナイト・ラン』の地上波吹替版がノーカットで観られるということについて、どう思いますか?

どっちの方がいいのか分からないけど(笑)。カットされていたシーンでは、ジャックとデュークが飛行機の中で食べたいものを話し合うシーンなんかは好きですね。冒険とユーモア、緊張と緩和がうまく組み合わさった映画だと思います。ただ、この作品は我々声優のおかげでさらに面白くなっていると思いますよ(笑)。

── 吹替えならではの良さは、どういうところだと思われますか?

吹替えは14文字(字幕の横書き1行分)では表せないことができる。たくさん詰まったニュアンスを表現できるところかな。恐らく、字幕の何倍もの意味は伝えることができるはずです。小池朝雄さんの「刑事コロンボ」をやった額田(やえ子)さんが今回の『ミッドナイト・ラン』の翻訳もしたんだけど、彼女のようなものすごい才能のある翻訳者がたくさんいましたからね。
この間、『Dearダニー 君へのうた』でアル・パチーノをやったとき、久しぶりにセリフが大切だなぁっていう思いがしましたよ。例えば日本の時代劇は言葉を大切にしていて、言葉で何かが浮かんでくるんです。セリフとセリフの間にある空間の美しさが、日本語にはあるんですよ。なぜかっていうと母音が強いから。母音の後に、一種の間ができるんだよね。母音を大切にしていると、とても聞きやすいセリフが生まれるんだけど、今はなにを言っているか分からない人が多いね。たぶん、それをチョイスして「ここの日本語をこうしたらいい」という現場の雰囲気が、だんだんなくなってきたんじゃないかなっていう気がするんですよね。僕は今ラジオで朗読をやっているんだけど、そうすると言葉が大切だなって。言葉で人間の形を浮かび上がらせるわけじゃないですか。それは、落語もそうなんだけどね。そういう言葉の掛け合いみたいなものが、吹替えは面白いんじゃないかな。

僕の場合、リップシンクは全然合わないな(笑)

── 羽佐間さんは、事前に役作りをしていくタイプですか?

昔は今みたいにDVDを家に持ち帰って観るなんてことはなかった。収録とは別の日にフィルム上映をみんなで観て合わせるリハーサルをしたものです。それで各自が家に帰ってから、どうやって組み立てるかを考えました。本番は、まさに勝負です。相手がどう来るかによって、現場で作っていく作業です。だから、最初から役作りをしすぎると、相手に裏切られることもあるし芝居としては面白みに欠けます。
僕の場合、変な言い方だけど役を作るというよりは「降りてくる」っていう感じがするの。僕らの仕事は、塗り絵師だなと思う。つまり、形あるものに色を塗っていく仕事。だからパレットに色がたくさん入っていないといい芝居はできない。その色って一体なんなのかっていうと、日常生活の中で音楽を聴き、小説を読み、雑学を知り、何をしても見聞を広める。そして、「じゃあこの色はパレットの中に入れておこう」となって、それを時々使うと。僕の場合、リップシンクは全然合わないな(笑)ただ、合わせているのは呼吸。役と一緒に呼吸するっていうか。だから『ロッキー』は、ボクシングをしなきゃいけないから大変なんだよ。12ラウンド戦って、挙句の果てに「エイドリアーーン!」って言うんだから(笑)このセリフはもう、最後の雄叫びみたいなものだね。

── 地上波で放送した名作吹替の人気が高まっていることについてどう思われますか?

吹替全盛期の頃は、田舎においてはテレビの字幕映画は視聴率が圧倒的に悪かった。なぜなら、電波状態も悪いし小さなブラウン管の画面には14文字しか出てこないでしょう。だから、例えば「園田」なのか「国田」なのか読めないし、濁音と半濁音も飛んじゃうの。『ターザンの新冒険』なんか、「ターサンの新冒険」って見えちゃって、ターサンって隣の八百屋のおっちゃんかよって(笑)。そこを補うのが我々の役目であって、我々も勉強しながらお届けできるようにすれば、また吹替が王道になってくるんじゃないかな。

── 演じていて、しっくりくるなぁと思う役者はいますか?

ダニー・ケイですね。彼の主演作で僕がアテた『5つの銅貨』っていう作品があって、密かに気に入ってます。映画自体も良かったし、一時代の代表的な作品です。化けて面白いのはピーター・セラーズだね。

私たちの役目は、皆さんが抵抗なくトランスレートできて、映像にぴったり合っていることが大事。ピーター・フォークが出てきた時、「小池朝雄じゃないとコロンボじゃない」ってみんなが言ったんだからね。そのくらい、マッチしているということ。本当はそれが我々の役目ですよね。
何でもやらせる主義の、TBSの熊谷(国雄)さんっていうプロデューサーがいてね。振り返ると、マーロン・ブランド、『評決』のポール・ニューマン、『ロッキー』のスタローン、『名探偵登場』のピーター・セラーズ、『裸の銃を持つ男』のレスリー・ニールセン、『俺がハマーだ!』のデヴィッド・ラッシュもやったよ!めちゃめちゃにキャスティングされたんですよ。「どうして俺を使うの?」って聞いたら「お前がやればなんとかやるから。いいだろう、やれよ」って言われて。僕は、プロデューサーに恵まれて百戦錬磨になったような気がしています。俳優って、演出家に見い出されて信頼されてやっていくっていうのが一番いい。あんまり色んなことをやるもんだから、280人くらいのハリウッドスターを演じていますよ。キャリアは5~60年になるんだけど、1年に100本以上はやってたと思うんですね。ということは、6~7000本はやっている計算になる。オファーのメールに、わざわざ「今回は3236本目です」とか報告してくる人がたまにいるけど(笑)様々な役を演じて、様々なドラマをやらせてもらえたということは、役者冥利に尽きるとは思っています。

「あ」だけで、驚く、泣くなど喜怒哀楽を全部表現

── 羽佐間さんは、無声映画に人気声優がライブで声をアテる人気企画「声優口演」のプロデューサーとしてもご活躍です。

無声映画だからセリフがないので、全部自分でセリフを作ることから始めます。その根幹は、落語とか漫才ですね。チャップリンのような喜劇は特にね。例えば、山寺(宏一)はひとりで色んなことができる人だから、犬が18匹出てきても全部違う犬を演じられる。そういう部分を楽しんでいる方もいらっしゃると思います。この間、小津(安二郎)さんの『淑女と髯』という無声映画をやったんだけど、大喝采でした。まだ夢はたくさんありますよ。

── 今の世代の声優や、今後の声優界に伝えていきたいことはありますか?

「あ」だけで喜怒哀楽を全部表現してごらん?って言うんです。驚く、泣く、たった一文字でそういうことができる。そういうことを表現できる場は、どうも寄席とかそういう語りの芸が集まっているところじゃないかなっていう気がしています。そういう部分に共感してくれる人と一緒に芝居をやっていくべきじゃないかと。じゃないと本当の伝わり方っていうか、みんなに話す言葉も含めて次の世代に伝えられないなって。ぜひ記者の皆さんも、スターばかりじゃなくて「これだな!」と思える部分にフォーカスを当てて後押しするような、そういうジャーナリズムであってほしいなと思います。

── 最後に、放送を楽しみにしている視聴者へメッセージをお願いします。

『ミッドナイト・ラン』の地上波吹替版の放送が26年前というと、いま40~50歳の方が20歳くらいの青春時代にご覧になったということですよね。ほかにも、昔は『アンタッチャブル』とか『ローハイド』とか、吹替えている人が面白かったの。滝口順平さん、若山弦蔵、黒沢良とか、錚々たるメンバーが吹替えていた。やっぱり人に伝える術を心得ているから面白かったんだよね。当時楽しんでいただいた方たちには懐かしんでいただくと同時に、こういうものがあったんだということを、ぜひ次の世代にも伝えていってほしいなと思います。

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作品詳細

『ミッドナイト・ラン【地上波吹替追録版】』TV初放送
チャールズ・グローディン

7月8日 21:00放送

DVD未収録!地上波放送時にカットされたシーンを26年ぶりに追録したノーカット版をTV初放送!孤独な賞金稼ぎと心優しき犯罪者の友情を描くアクション・コメディ。

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『ランボー【羽佐間道夫 地上波吹替版】』
シルヴェスター・スタローン

7月22日 21:00放送

DVD未収録!ベトナム戦争で活躍した男が死闘をくり広げるS・スタローン主演のアクション。スタローンの声は羽佐間道夫が担当。(初回放送:90年/水曜ロードショー)

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『名探偵登場【地上波吹替版】』
ピーター・セラーズ

7月29日 21:00放送

DVD未収録!P・セラーズ(羽佐間道夫)、P・フォーク(小池朝雄)、A・ギネス(千葉耕市)ら豪華キャスト&声優で贈るミステリー。

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プレゼント

『ミッドナイト・ラン【地上波吹替追録版】』羽佐間道夫&池田勝サイン入り吹替台本 計10名様プレゼント!

※サイン時に付着した多少の傷、汚れ等がある場合がございます。
※当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
※賞品の発送は、日本国内に限らせていただきます。
※ご応募受付の確認、抽選結果に関するお問い合わせにはお答えできません。


締切:7/31


応募は締め切りました

プロフィール

羽佐間道夫(はざま・みちお)

10月7日生まれ。東京都出身。
シルヴェスター・スタローン、ピーター・セラーズ、ポール・ニューマン、ディーン・マーティンの吹替えや、「スーパーテレビ情報最前線」「皇室 特集」「every.特集」「ズームイン!!サタデー」「宝刀~日本人の魂と技~」などのナレーションでも活躍する声優界の重鎮。
無声映画の名作を、声優がその場で吹替え現代に蘇らせ、さらに映画に合わせた創作音楽も同時に生演奏されるという贅沢なライブイベント「声優口演」の企画総合プロデューサーとしても活動中。

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