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『メイズ・ランナー』2018/06/01 UP 放送日時

迷路の果てには何がある?―必見『メイズ・ランナー』第1作

 シリーズ最終章『メイズ・ランナー 最期の迷宮』がいよいよ2018年6月15日から公開になる『メイズ・ランナー』。2014年から始まったシリーズもいよいよ大団円、すべての謎に決着がつくわけだが、ここで、そもそもの始まりは何だったかをおさらいしておこう。なにしろ『メイズ・ランナー 最期の迷宮』には、これまでのダイジェストはおろか、人物設定の説明もなく、迷宮すら出てこないのだ。

 すべては、名前以外のすべての記憶をなくしたトーマス(ディラン・オブライエン)が、高い壁で囲まれた広場(グレード)に送り込まれてくるところから始まる。そこには森や畑や少年たちの建てた家があり、ひと月に1度、“ボックス”に入れられた新入りの少年と一緒に送られてくる必要で生活していた。リーダーは温厚な少年アルビ―(アムル・アミーン)、彼を補佐するニュート(トーマス・ブロディ=サングスター)、年下で甘えん坊のチャック(ブレイク・クーパー)、乱暴者のギャリー(ウィル・ポールター)ら。足の速いミンホ(キー・ホン・リー)とベン(クリス・シェフィールド)が“ランナー”となり、昼間だけ開く扉から壁の中の迷路に入り、出口を探っていた。迷路にはグリーバーと呼ばれる怪物が潜んでいて、見つかれば殺されてしまう。しかし、トーマスの登場で、保たれていた平和に異変が起き、閉まるはずの扉が閉まらず、グリーバーが飛び出してきて少年たちに襲いかかった。このままグレードに留まるか、それとも命がけで迷路に入り、出口を発見するか。意見が分かれるなか、最後の新入り、テレサ(カヤ・スコデラリオ)が送り込まれ、事態は一気に最終局面へ。果たして少年たちは迷路を脱出できるのか?

 原作はジェームズ・ダシュナーのヤング向けSF小説。系列としてはジェニファー・ローレンス主演の『ハンガー・ゲーム』や、ロイス・ローリーの『ギヴァー 記憶を注ぐ者』などと同じ、高度に科学が発達し、進化が行き着いた未来社会で、人類が生存を探るというディストピアもの。シリーズは『メイズ・ランナー 最期の迷宮』まで3作で、この他にスピンオフが2本作られる予定になっている。一番面白いのは、やはり第1作の『メイズ・ランナー』だろう。特にメイズ(迷路)のビジュアルとゲーム感覚にスピード感をプラスしたところに新しさがある。ちなみに世界最古の迷宮は、ギリシャ神話にあるクレタ島のクノッソスの迷宮で、牛の頭をした怪人ミノタウロスが閉じ込められている。『メイズ・ランナー』の迷路に巨大なクモを模した怪物が隠れていて、出口を探ろうとする者に襲いかかるのは、この神話を踏まえたものだろう。

 監督のウェス・ボールは80年生まれ。フロリダ州立大映画製作科で学び、特撮・アニメの製作会社オッドボール・アニメーションを設立。オンライン配信の3D短編『Ruin』で注目され、『メイズ・ランナー』の監督に抜擢されて長編デビューした。シリーズ3作を通して監督を務めている。

 主演のディラン・オブライエンは、91年8月26日ニューヨーク生まれ。父親は『インフォーマント!』や『ファンタスティック・フォー』などのカメラ・オペレーターで、母親は元女優。12歳でカリフォルニアに移り、父親と同じカメラマンを目指して映画学校へ入るも、TVシリーズ<ティーン・ウルフ>の主人公の親友役を得て、俳優の道へ。『メイズ・ランナー』が初主演だが、14歳の頃から製作・監督・主演した短編をYou Tubeで公開し、多くのフォロワーを獲得している。

 紅一点テレサ役のカヤ・スコデラリオは92年3月13日ロンドン生まれ。彼女のダークヘアとエキゾチックな美貌はブラジル人の母親譲り。TVシリーズ<スキンズ>で注目され、『月に囚われた男』でサム・ロックウェルと共演。『メイズ・ランナー』でスターとなって、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』でヒロインに抜擢された。

 ニュート役のトーマス・ブロディ=サングスターは90年ロンドン生まれ。『ラブ・アクチュアリー』のリーアム・ニーソンの義理の息子役を演じた天才子役。ギャリー役のウィル・ポールターは93年ロンドン生まれのケニア育ち。『リトル・ランボーズ』の悪ガキ少年役で注目され、『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』などに出演。昨年はキャスリン・ビグローに抜擢され、『デトロイト』の人種差別主義の警官を演じて強烈な印象を残した。主要キャストは3作すべてに登場するが、本作の最後で死んだはずのギャリーも、最終章で“復活”するので、お楽しみに。

斎藤敦子

ライター 斎藤敦子

映画評論家。パリで映画編集を学ぶ。フランス映画社宣伝部勤務を経てフリー。「サウルの息子」、「スポットライト 世紀のスクープ」などの字幕翻訳、「ピアノ・レッスン」(新潮文庫)「奇跡の海」(幻冬舎文庫)「パリ快楽都市の誘惑」(清流出版)などの翻訳書も。

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