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映画の処方箋

何気なく観ていたアノ映画も、知れば「なるほど!」映画評論家 斎藤敦子が
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『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』2017/12/01 UP 放送日時

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アクション映画は勢いだ!

 『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』は、83年から87年まで5シーズン製作されたテレビのヒットシリーズの映画化。オリジナルはヴェトナム戦争帰りの元特殊部隊員たちがチームを組んで弱い者のために悪人退治をするという設定。映画版は時代に合わせて湾岸戦争帰りに変更したものの、チーム4人のキャラと、ノリのいいアクション、軽さは踏襲し、スクリーンの大きさに合わせてアクションをスケールアップしている。

 Aチームは、リーダーの“ハンニバル”ことジョン・スミス大佐(リーアム・ニーソン)、“フェイス”こと女たらしの調達屋ペック中尉(ブラッドリー・クーパー)、“B.A.”こと凄腕メカニックのバラカス軍曹(クイント・“ランページ”・ジャクソン)、“クレイジーモンキー”ことパイロットのマードック大尉(シャールト・コプリー)の4人。ハンニバルとは、頭脳明晰な猟奇殺人鬼レクター博士ではなくて、古代ローマ史上最強の敵と言われたカルタゴの勇将のこと。B.A.は軍曹の名前ボスコ・アルバートとBad Attitude(素行不良)の略を兼ねたもの。クレイジーモンキーとは戦闘ストレスで奇行が多いマードックを表したあだ名だ。

 ストーリーは単純。イラク戦争末期、バグダッドのゲリラが米ドルの偽原板で刷った大量の偽ドル紙幣を持って逃げようとしているという情報がCIAからもたらされる。モリソン将軍(ジェラルド・マクレイニー)の命令を受けたハンニバルは、Aチームを招集し、原板の奪還に向かい、作戦は成功したものの、その直後に何者かの攻撃を受けて、将軍は爆死、原板も行方不明に。Aチームは将軍殺害と原板横領の罪を着せられて刑務所へ。だが、ハンニバルたちは、自分たちをはめた真犯人に復讐するために刑務所を脱獄、事件の真相に迫っていく。

 監督は、麻薬捜査官を主人公にしたクライム・サスペンス『NARC ナーク』やマフィアの殺し屋とFBIの攻防を描いたバイオレンス・アクション『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』で知られるジョー・カーナハン。主演は、『シンドラーのリスト』や『マイケル・コリンズ』といった重厚な映画に主演していたとは思えないほど最近はアクション映画専門になった感のあるリーアム・ニーソン。ちなみに、ニーソンはこの後『THE GREY 凍える太陽』で再びカーナハンと組んでいる。

 共演は、『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』で、長い下積みからブレークしたばかりのブラッドリー・クーパー、総合格闘技UFC出身の元格闘家クイント・“ランページ”・ジャクソン、それに異色SF『第9地区』で注目されたばかりのシャールト・コプリー(怪演)。紅一点のソーサ大尉に、ジャスティン・ティンバーレイク夫人のジェシカ・ビール。

 とにかく最初から最後まで猛スピードで走り続けていく映画なので、あまり考えている暇がない。あったとしてもストーリーに考えるほど深い意味はないし、嘘としか思えないアクションが連続するので、頭を空っぽにして楽しむのが一番いい。黒幕だって考えなくてもすぐ分かる。アクション映画は勢いがよければそれでいい。その見本のような1本だ。

斎藤敦子

ライター 斎藤敦子

映画評論家。パリで映画編集を学ぶ。フランス映画社宣伝部勤務を経てフリー。「サウルの息子」、「スポットライト 世紀のスクープ」などの字幕翻訳、「ピアノ・レッスン」(新潮文庫)「奇跡の海」(幻冬舎文庫)「パリ快楽都市の誘惑」(清流出版)などの翻訳書も。

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