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『きみに読む物語』2017/11/17 UP 放送日時

ライアン・ゴズリングがブレイクした映画といえば…

 昨年は『ラ・ラ・ランド』、今年は『ブレードランナー 2049』と快進撃が続くライアン・ゴズリング。そんな彼がブレイクするきっかけとなったのが04年の『きみに読む物語』だ。

 ある療養施設に暮らす認知症の老女(ジーナ・ローランズ)の元を訪れてはノートに記された物語を読み聞かせる老人(ジェームズ・ガーナー)。その物語は1940年、ノースカロライナ州シーブルックの別荘に裕福な家族が避暑に来た夏に遡る。地元の青年ノア(ライアン・ゴズリング)はハミルトン家の一人娘アリー(レイチェル・マクアダムス)に一目惚れし、強引にデートに誘う。ノアは父親(サム・シェパート)と二人暮らし。詩が好きで、いつか荒れ果てた古い屋敷を買い取って農場にする夢を持っている。アリーはノアと激しい恋に落ちるが、アリーの母(ジョアン・アレン)は貧しいノアとの交際に大反対。やがて夏が終わり、アリーは遠くの大学へ、ノアは戦争へ。ノアは毎日アリーに宛てて手紙を書き続けるが、届いた手紙はすべてアリーの母が隠していた。戦争が終わり、故郷へ戻ったノアは父親が買い取ってくれた屋敷の修復を始める。そこに、若手弁護士(ジェームズ・マースデン)との結婚式を前にしたアリーが会いにくる…。

 現在と過去が交互に現れるので、老女に物語を読み聞かせる老人が、ノアとアリーの現在の姿であることはすぐに分かってくる。紆余曲折あって結ばれた恋人たちが、最後まで愛を貫く姿が、“自分たちの物語”を読み聞かせ、思い出すことに託されている。ここまで純愛でスイートなラヴストーリー(しかもハッピーエンド)は珍しいだろう。

 ライアン・ゴズリングは1980年11月12日、カナダのオンタリオ州ロンドン生まれ。幼い頃から姉のマンディとタレント・オーディションを受け12歳のときにモントリオールでミッキー・マウス・クラブの公開オーディションを受け、17,000人の中から選ばれて、ジャスティン・ティンバーレイク、クリスティーナ・アギレラ、ブリトニー・スピアーズらを輩出した<ミッキー・マウス・クラブ>に出演。番組卒業後は俳優を志し、カナダのテレビ映画出演を経て、96年に『フランケンシュタインと僕』で映画初出演。00年『タイタンズを忘れない』、02年『完全犯罪クラブ』、『16歳の合衆国』と次第に大きな役がついて注目を集めるようになり、本作で一気に人気が出て、ホットな若手スターに選ばれるほどになる。子供の頃から一家の生活を背負ってきた苦労人で、陰のある屈折した役を得意とし、06年に『ハーフネルソン』でアカデミー賞主演男優賞に初ノミネート、16年に『ラ・ラ・ランド』で2度目のノミネートを果たした。

 『きみに読む物語』がきっかけで、同時に人気者になった同郷のレイチェル・マクアダムスと交際していたが、08年に破局。11年からエヴァ・メンデスと交際し、娘が2人いる。

 監督のニック・カサヴェテスは59年ニューヨーク生まれ。父親は監督で俳優のジョン・カサヴェテス、母親は女優ジーナ・ローランズで、子供の頃から父カサヴェテスの撮る映画に出演していた。長じて俳優になり、96年に母ローランズがタイトル・ロールを演じた『ミルドレッド』で監督デビュー。父の遺した脚本を自ら監督した『シーズ・ソー・ラヴリー』が97年のカンヌ映画祭で男優賞(ショーン・ペン)と高等技術員賞を受賞した。インディーズ映画の雄として熱狂的なファンの多い父と違い、息子はウェルメイドな商業映画を多く監督している。『きみに読む物語』を、夫と死別した母ローランズへの息子からのラヴレターとして見ると、エンディングがより深く味わえるかもしれない。

斎藤敦子

ライター 斎藤敦子

映画評論家。パリで映画編集を学ぶ。フランス映画社宣伝部勤務を経てフリー。「サウルの息子」、「スポットライト 世紀のスクープ」などの字幕翻訳、「ピアノ・レッスン」(新潮文庫)「奇跡の海」(幻冬舎文庫)「パリ快楽都市の誘惑」(清流出版)などの翻訳書も。

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