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『X-MEN:フューチャー&パスト』2017/11/02 UP 放送日時

新旧2つの「X-MEN」シリーズを繋ぐカギ

 今年、全世界で公開された『LOGAN/ローガン』まで、「X-MEN」シリーズはスピンオフを含めて10本が製作された。このシリーズは、プロフェッサーXをパトリック・スチュワート、マグニートーをイアン・マッケランが演じた旧シリーズ(最初の3話)と、若きプロフェッサーXをジェームズ・マカヴォイ、若きマグニートーをマイケル・ファスベンダーが演じ、前3話の前日譚を描く新シリーズ(『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』以降)に分けられる。新シリーズ2作目の『X-MEN:フューチャー&パスト』は、未来から過去へタイムワープして過去を書き換えるという、新旧の繋ぎ目となるストーリーで、両方の出演スターが一堂に会する豪華版だ。

 2023年、ミュータントを絶滅させるために開発されたバイオメカニカル・ロボット“センチネル”が、ミュータントと同時にミュータントに同情的な人間および将来ミュータントを誕生させそうな遺伝子を持つ人間を攻撃した結果、地球は滅亡寸前になっていた。プロフェッサーX(パトリック・スチュワート)は宿敵マグニートー(イアン・マッケラン)と和解し、キティ(エレン・ペイジ)の特殊能力を利用してウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)の精神を50年前の1973年の彼の体にワープさせ、ミスティーク(ジェニファー・ローレンス)によるセンチネル開発者トラスク博士(ピーター・ディンクレイジ)の暗殺を阻止し、歴史の流れを変えようとする。50年前の若きプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)はビースト(ニコラス・ホルト)の調合した薬で足の機能を回復する代わりに人の心を読む能力を失い、若きマグニートー(マイケル・ファスベンダー)は、ケネディ暗殺犯としてペンタゴンの地下牢獄に幽閉されていた…。

 監督は旧シリーズの生みの親ブライアン・シンガー。65年ニューヨーク生まれの現在52歳。93年に長編デビュー作の『パブリック・アクセス』がサンダンス映画祭で注目され、2作目の『ユージュアル・サスペクツ』が95年のアカデミー賞で2部門(助演男優、脚本)受賞するなど大評判になり、世界中から期待を集める新進若手監督となった。

 『X-メン』は、そんなシンガーにとって初めての大作だったが、続編の『X-MEN2』を監督したところで、いったんシリーズから離れ、3作目の『X-MEN:ファイナル ディシジョン』はブレット・ラトナー、新シリーズ第1作の『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』はシンガーが原案と製作を担当したものの、監督はマシュー・ボーンが担当した。シリーズとつかず離れずの関係だったシンガーが製作と監督を担当し、久々に本腰を入れた「X-MEN」が本作ということになる。

 『X-MEN:フューチャー&パスト』(原題は&が入らないフューチャー・パストで未来過去という意味の造語)の見どころは、ヴェトナムと米国の間に和平協定が結ばれた73年のパリやニクソン大統領時代のホワイトハウスといった50年前の世界と、2023年のミュータントとセンチネルによる最終戦争が交互にフラッシュバックするクライマックスだろう。めまぐるしいうえに、非常にハラハラする。また、SFXとCGを巧みに組み合わせた奇想天外なアクション場面も楽しい。

 パトリック・スチュワートとイアン・マッケランという舞台出身の名優を中心に据えて始まった旧シリーズだが、二人をジェームズ・マカヴォイとマイケル・ファスベンダーという若手に変え、キャラクターもそれぞれ若返らせて、延命をはかったのが新シリーズだ。その2作目の本作では、過去を書き換えるという、さらに大胆不敵な策に出て、その結果、これまでの設定がすべてリセットされ、死んだはずのキャラクターさえ自由に復活させることが可能になった。さすが数十年も同じシリーズを描き継いできた百戦錬磨のアメコミ、何でも可能である。この後、新シリーズは、昨年公開された『X-MEN:アポカリプス』を経て、ジーン・グレイを主人公にした新作『X-MEN:ダーク・フェニックス』(来年公開予定)へと続いていく(ジーン役はファムケ・ヤンセンではなく、<ゲーム・オブ・スローンズ>でサンサを演じたソフィー・ターナーに若返っている)、が、その前に、旧シリーズをおさらいし、今後のシリーズを楽しむためにも、『X-MEN:フューチャー&パスト』をお見逃しなく。

斎藤敦子

ライター 斎藤敦子

映画評論家。パリで映画編集を学ぶ。フランス映画社宣伝部勤務を経てフリー。「サウルの息子」、「スポットライト 世紀のスクープ」などの字幕翻訳、「ピアノ・レッスン」(新潮文庫)「奇跡の海」(幻冬舎文庫)「パリ快楽都市の誘惑」(清流出版)などの翻訳書も。

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