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『ビバリーヒルズ・コップ』2014/12/19 UP 放送日時

エディ・マーフィの最高の当たり役アクセル・フォーリーを楽しもう。

『ビバリーヒルズ・コップ』はTVの<サタデー・ナイト・ライブ>で注目を集めたスタンダップ・コメディアンのエディ・マーフィを世界的なスーパースターにした記念碑的な作品で、シリーズ3本のそれぞれに特徴がある。

 1作目の監督は、このあと『ミッドナイト・ラン』や『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』を撮って有名になるマーティン・ブレスト。不良少年上がりの敏腕黒人刑事が、荒れた工業地帯デトロイトからファッショナブルなビバリーヒルズへ乗り込み、難事件を解決するというプロットで、黒人と白人、貧乏人と金持ち、田舎と都会という文化のギャップを活かしたコメディ色の強いハードボイルド映画になっている。

 デトロイト市警の刑事アクセル・フォーリー(エディ・マーフィ)は、親友マイキーの死の真相を突き止めるため、休暇をとって上司に無断でビバリーヒルズへ。マイキーの元雇い主で画廊のオーナー、メイトランド(スティーヴン・バーコフ)が怪しいと目をつける。ビバリーヒルズ署のボゴミル警部補(ロニー・コックス)は巡査部長のタガート(ジョン・アシュトン)と若手刑事ローズウッド(ジャッジ・ラインホルド)にアクセルの尾行を命じるが、アクセルは簡単に二人を巻き、メイトランドが美術品の荷に隠して麻薬を密輸していることを突き止める。

 2作目の監督は『トップ・ガン』を大ヒットさせ、娯楽映画の名手として名をあげたばかりのトニー・スコット。アクセルが前作で仲良くなったビバリーヒルズ署の刑事コンビと組んで、3人で事件を解決するという一種のバディ・ムービーで、トニー・スコット印の(プロデューサーのジェリー・ブラッカイマー印でもある)派手なアクション・シーンが見どころ。

 金髪美女(ブリジット・ニールセン)に率いられた窃盗団による強盗事件が相次ぐビバリーヒルズ。捜査にあたっていたボゴミル警部が何者かに狙撃され、瀕死の重傷を負った。連絡を受けたアクセルは、すぐにビバリーヒルズに飛び、交通課に降格されたタガートとローズウッドと組んで秘かに捜査を開始。現場に残された薬莢とボゴミルの捜査資料から、強盗事件の裏に大がかりな犯罪組織が隠れていることを嗅ぎつける。

 3作目の監督は『大逆転』でエディ・マーフィと組んだジョン・ランディス。今回はテーマパークを舞台にした家族向けのアクション映画。プロデューサーが交替したためか、映画が小粒になり、レギュラー陣もジャッジ・ラインホルドとおかまのセルジュ役のブロンソン・ピンチョットしか登場しない寂しさだが、ハリウッドを皮肉ったランディスらしい毒のある笑いが楽しめる。

 車の窃盗犯を逮捕しようとして別の強盗団に遭遇し、上司を殺されたアクセルは、遺留品からロサンゼルスのテーマパーク“ワンダー・ワールド”が臭いと睨み、再び西海岸へ。ビバリーヒルズ署ではタガートが引退し、代わって出世したローズウッドの協力もあって、ワンダー・ワールドの地下で大規模な贋札作りが行われていることを突き止める。

 振り返ると『ビバリーヒルズ・コップ』は、エディ・マーフィのキャリアの頂点をなす3本だといえるだろう。1作目はなんと23歳、3作目でもまだ33歳の若さで、スリムで動きもきびきびしたエディ・マーフィからはスターのオーラが発散されている。さすがに昔の作品だけあって女性のファッションに時代を感じさせられるが、映画の楽しさは少しも古びていない。絶頂期のエディ・マーフィのマシンガン・トークと物真似が冴えわたる、驚異的なシリーズである。

斎藤敦子

ライター 斎藤敦子

映画評論家。パリで映画編集を学ぶ。フランス映画社宣伝部勤務を経てフリー。「サウルの息子」、「スポットライト 世紀のスクープ」などの字幕翻訳、「ピアノ・レッスン」(新潮文庫)「奇跡の海」(幻冬舎文庫)「パリ快楽都市の誘惑」(清流出版)などの翻訳書も。

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