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映画の処方箋

何気なく観ていたアノ映画も、知れば「なるほど!」映画評論家 斎藤敦子が
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『ブリジット・ジョーンズの日記』2013/12/20 UP 放送日時

太めでドジな独身OLブリジットの恋愛12か月

ブリジット・ジョーンズ(レニー・ゼルウィガー)はロンドンの大手出版社に務める32歳の独身女性。ちょっぴり太めなことと、いまだに結婚できないことで悩んでいる。新年を迎え、日記をつけることを決意したブリジットは、お酒と煙草を控え、ダイエットすることと、ハンサムな編集長ダニエル(ヒュー・グラント)に気をつけることを1年の目標として書き付ける。実家で開かれた恒例のターキー・カレー・パーティで、幼なじみのマーク・ダーシー(コリン・ファース)に再会。人権専門の弁護士になったマークは日本人の妻と離婚し、バツイチになったばかり。この出会いは二人を引き合わせようとする親同士の策略だったのだが、ちょっとした行き違いで仲違いしてしまう。太めでドジだが、聡明で明るいブリジットにプレイボーイのダニエルがちょっかいを出してくる。さてブリジットは、調子がよくて不実なプレイボーイのダニエルと、堅物だが誠実なマークと、どちらを選ぶのだろうか?

ブリジットを演じるのはレニー・ゼルウィガー。アメリカ人がキャスティングされたことで批判されたが、体重を10キロ増やし、クランクインのときは完璧に英国アクセントを身につけていたという努力の人。ヒュー・グラントは『フォー・ウェディング』や『ノッティングヒルの恋人』といった、90年代に世界を席巻したイギリス製コメディ映画の看板俳優としてトップスターとなった。今回の編集長役は彼にしては珍しい悪役だが、浮気をしてもあっけらかんと悪びれないところは本人の地に近いかもしれない。コリン・ファース(1960年9月10日生まれ。ヒュー・グラントより1日だけ若い)は、年齢を経て渋みを増し、2009年には『シングルマン』でヴェネチア映画祭男優賞、2010年には『英国王のスピーチ』でアカデミー賞主演男優賞を獲得、名実共に英国を代表する俳優となった。彼の演じるマーク・ダーシーは、原作者のヘレン・フィールディングが、当時テレビ映画化されたジェーン・オースティンの『高慢と偏見』でダーシーを演じていたコリン・ファースをイメージして描いた役。ゆえにコリン・ファースは過去に自分が演じた役を真似て演技をしたことになる。

このダーシー役だけでなく、フィールディングは多くのヒントをジェーン・オースティンの<高慢と偏見>から得ている。ブリジットはベネット家の次女エリザベスだろうし、ダニエルは色男の青年士官ウィカムだろうか。とはいえ、家の格式と財産の違いで婿選びに苦労する19世紀初頭の娘たちとは違って、現代のロンドンに暮らすブリジットは独身生活の自由さを満喫。結婚相手がいないと悩んだとしても、ヒュー・グラントとコリン・ファースの両方から愛されるのだから、うらやましい限りだ。

監督のシャロン・マグワイアはTV出身で本作が長編デビュー作。原作者のフィールディングの友人で、劇中でサリー・フィリップス演じるブリジットの友人シャザは彼女をモデルに描かれているという。

雪景色の新年から始まり、雪景色の新年で終わるクリスマス・シーズン用の娯楽映画なので、暖かい部屋でワインでも飲みながら見るのにぴったり。見どころは何といってもレニー・ゼルウィガーのぽっちゃり体型で、大きなお尻を強調した場面がよく登場するが、特に仮装パーティでのむちむちしたバニーガール姿が何とも可愛らしい。ダイエットに励む世の女性たちは、痩せてギスギスするより、ブリジットのような太めの魅力を追求する方が男性にもてる近道かもしれない(ただし、“ブリジットのライフスタイルを真似ると貴女の健康を損なう恐れがあります”とチラシに注意書きが載ったほどなので、暴飲暴食はほどほどに)。

斎藤敦子

ライター 斎藤敦子

映画評論家。パリで映画編集を学ぶ。フランス映画社宣伝部勤務を経てフリー。「サウルの息子」、「スポットライト 世紀のスクープ」などの字幕翻訳、「ピアノ・レッスン」(新潮文庫)「奇跡の海」(幻冬舎文庫)「パリ快楽都市の誘惑」(清流出版)などの翻訳書も。

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