知って得する!

映画の処方箋

何気なく観ていたアノ映画も、知れば「なるほど!」映画評論家 斎藤敦子が
あなたに効くエピソードや解説を処方します!
用法用量を守って正しくお使いください。

121
『パイレーツ・オブ・カリビアン』2013/10/25 UP 放送日時

ディズニーランドから生まれた奇想天外な海賊アドベンチャー

普通テーマパークのアトラクションといえば大ヒットした映画から作られる。例えばユニバーサル・スタジオなら『ジェラシック・パーク』や『バックドラフト』、『ウォーターワールド』など、ディズニーランドなら『白雪姫』、『スター・ウォーズ』、『モンスターズ・インク』などを元にアトラクションが作られている。けれども、逆にアトラクションから映画が作られることなど滅多にない。その例外が『パイレーツ・オブ・カリビアン』である。

ディズニーランドの<カリブの海賊>は、ウォルト・ディズニー自身が設計に関わった最後のアトラクションで、カリフォルニア州アナハイムのディズニーランドを始め、東京ディズニーランドなど世界の数カ所にある。映画はこのアトラクションのコンセプトを借りて、ストーリーを膨らましていったもので、製作はシリーズを通して火薬の量の多さと派手なカーチェースで知られるジェリー・ブラッカイマー、監督は第1、第2、第3作が、『ザ・メキシカン』やアメリカ版『ザ・リング』のゴア・ヴァービンスキー。第4作が『SAYURI』や『NINE』のロブ・マーシャルが担当した。

記念すべき第1作『呪われた海賊たち』の舞台はカリブ海の港町ポートロイヤル。提督の娘エリザベス(キーラ・ナイトレイ)は、幼い頃に海で拾われ、今は鍛冶屋になったウィル(オーランド・ブルーム)と愛し合っている。部下の反乱に遭って船を奪われ、ポートロイヤルにたどり着いた海賊ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)は、海に落ちたエリザベスを救おうとして捕らえられ、牢に入れられる。その夜、ポートロイヤルがバルボッサ船長(ジェフリー・ラッシュ)率いる海賊に襲われ、エリザベスが連れ去られる。ウィルはスパロウと手を組み、海軍の船を奪ってバルボッサ船長たちのブラックパール号を追う。実はバルボッサ船長とブラックパール号の乗組員はアステカの金貨を盗んだために呪いを受けて幽霊になっていた…。

第2作『デッドマンズ・チェスト』は前作の3年後が舞台。ブラックパール号を取り戻したジャック・スパロウだが、13年前に幽霊船フライング・ダッチマン号の船長デイヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)と交わした契約の期限がきて、幽霊船の奴隷にされそうになる。一方、結婚式を挙げようとしていたウィルとエリザベスは、東インド会社のベケット卿(トム・ホランダー)にスパロウを逃がした罪で捕らえられる。世界制覇をもくろむベケット卿はスパロウのコンパスを盗むことを条件にウィルを釈放、ウィルはスパロウを追って人食い人種の住む島にたどりつく。

第3作『ワールド・エンド』は3部作の最終話にあたり、デイヴィ・ジョーンズの心臓を手に入れたベケット卿はフライング・ダッチマン号を使って捕まえた海賊を次々と処刑する。海賊が生き残るには伝説の海賊9人を招集し、一致団結して闘うしかないが、その中の一人は前作で海の怪物クラーケンに呑み込まれたジャック・スパロウだった。ウィルとエリザベスおよびブラックパール号の乗組員たちは、シンガポールの海賊サオ・フェン(チョウ・ユンファ)から世界の果ての地図を受け取り、ジャックの救出に向かう。

第4作『生命の泉』は、ジャック・スパロウを主人公にした新たなシリーズで、エリザベスとウィルは登場しない。ジャックは元恋人で女海賊のアンジェリカ(ペネローペ・クルス)に再会し、彼女の父親“史上最恐の海賊”黒ひげ(イアン・マクシェーン)のために“生命の泉”を探す旅につき合わされ、スペインとイギリス両海軍の争いに巻き込まれる。

“パイレーツ”シリーズの新しさは、これまでは海洋アクションに位置づけられていた海賊映画にスーパーナチュラルな要素を持ち込んだことだろう。海賊にまつわる様々な伝説がCGの技術によって新しい意匠で登場するのが面白い。また、ストーリーや人物描写を練りあげていくことより、ハラハラどきどきのノンストップ・アクションに仕立てることを優先しているので、見ていてちょっとめまぐるしいが、カリブ海という世界有数のリゾート地に繰り広げられるアドベンチャーの楽しさは十分に味わえる。ちなみに、映画の大ヒットにより、元のアトラクション<カリブの海賊>にも映画の要素が加えられ、改編された。

斎藤敦子

ライター 斎藤敦子

映画評論家。パリで映画編集を学ぶ。フランス映画社宣伝部勤務を経てフリー。「サウルの息子」、「スポットライト 世紀のスクープ」などの字幕翻訳、「ピアノ・レッスン」(新潮文庫)「奇跡の海」(幻冬舎文庫)「パリ快楽都市の誘惑」(清流出版)などの翻訳書も。

メルマガ限定コラムもチェック!

ここでしか読めないコラムを毎月お届け。

最新のコラム

コラム一覧

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年