映画の処方箋

Vol.158

『ナイト ミュージアム2』

ボケ役に徹したベン・スティラーに注目!

 博物館の展示物が命を吹き込まれて動き出したら?という仰天のアイデアを映画にしたのがベン・スティラー主演のファンタジー・コメディ『ナイトミュージアム』。2006年に第1作が大ヒットすると、2009年に続編『ナイトミュージアム2』、そして最新作『ナイトミュージアム エジプト王の秘密』まで3本製作された。残念ながら昨年ルーズベルト大統領役のロビン・ウィリアムズが亡くなってしまった(『ナイトミュージアム エジプト王の秘密』が遺作)ので、シリーズが続くとしたら新しい展開になるだろうが、現在公開中の新作を楽しむためにもシリーズをおさらいしておこう。

 続編は前よりスケールアップする、というのがシリーズの鉄則。『ナイトミュージアム』もこの鉄則通り、第1作はニューヨークの自然史博物館、第2作はワシントンのスミソニアン博物館、第3作はロンドンの大英博物館とスケールアップしていく。けれどもアメリカの子供向けファミリー映画なので、展示物を使ったギャグに一番力が入っているのは、やはりアメリカが世界に誇るスミソニアンを舞台に、アメリカの偉人が大活躍する第2作ではないだろうか。

 始まりは第1作から2年後。しがないバツイチ警備員だったラリー(ベン・スティラー)は起業して大成功、今やラリー発明社の社長として忙しい毎日を送っている。仕事の合間に元の職場を訪ねると、博物館は改装中。館長(リッキー・ジャーヴェイス)の話では、理事会の決定で博物館の展示を一新するため、古い展示物はスミソニアン博物館の倉庫に保管することになったという。ラリーが自宅で残業していると、ミニチュア・カウボーイのジュデダイア(オーウェン・ウィルソン)から助けを求める電話が掛かってくる。自然史博物館に残されるはずの魔法の石版がスミソニアンに運ばれ、スミソニアンの展示物が蘇ってしまった、エジプト王アクメンラー(ラミ・マレック)の兄カームンラー(ハンク・アザリア)が世界を征服しようとしている、と。すぐワシントンに飛んだラリーは、コンピューターに強い息子ニック(ジェイク・チェリー)の助けで博物館に忍び込むと、女性飛行士アメリア・イアハート(エイミー・アダムス)やカスター将軍(ビル・ヘイダー)らの力を結集し、カームンラー率いるイワン雷帝(クリストファー・ゲスト)、ナポレオン(アラン・シャバ)、アル・カポネ(ジョン・バーンサル)ら“悪の軍団”と戦うことになる…。

 主演のベン・スティラーは、アメリカでは絶大な人気を誇るコメディアンだが、日本ではアクの強い彼のキャラがなかなか受け入れられなかった。『ナイトミュージアム』が日本でも大ヒットしたのは、ファミリー向けの内容もさることながら、スティラーがこれまでと違って受けの演技に徹したからだと思う。漫才にボケとツッコミがあるように、コメディアンにも自分からアクションを起こして笑いをとっていくタイプと、アクションを受けて笑わせるタイプがある。優れたコメディアンはどちらもできるのだが、このシリーズでスティラーは展示物たちの放つギャグを受ける方に徹している。ただし、ギャグを受けて笑いに転換するには、双方の体にコメディのリズムが入っている必要がある。間が悪くなるからだ。『ナイトミュージアム』のキャストのほとんどがコメディアンなのはそのためで、監督もコメディセンスのいいショーン・レヴィが当たっている。

 『ナイトミュージアム2』で必見の場面は、スミソニアン博物館の警備員ブランドン(ブラゥンドン)に扮したジョナ・ヒルとスティラーのからみだろう。優れたコメディアン同士の対決とはまさにこれ。名人同士の殺陣を見ているようで、何度見てもうなってしまう。

 他にも『ハングオーバー!』シリーズのエド・ヘルムズがラリー発明社の社員役で、脚本のトーマス・レノン、ベン・ギャラントがライト兄弟役でカメオ出演。カーメンラー役で大活躍のハンク・アザリアは声優としても有名で、リンカーン大統領と考える人の声も担当。もちろんアメリア・イヤハート役のエイミー・アダムスの可愛いらしさも必見だ。

ライター 斎藤敦子のプロフィール

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