映画の処方箋

Vol.145

『21ジャンプストリート』

80年代のヒットTVシリーズを現代版パロディ映画化。

『21ジャンプストリート』は、ジョニー・デップの出世作として知られるTVシリーズをジョナ・ヒル&チャニング・テイタムのコンビで『バッドボーイズ』のようなバディ・ムービーに仕立てた楽しい映画。TVシリーズのリメイクというより、パロディ版スピンオフと言った方が近いだろう。

 スポーツ万能の人気者だが頭が悪く、校長からプロムの出席を禁じられた落第生ジェンコ(チャニング・テイタム)と、成績抜群だが太めでダサく、プロムに誘ったクラスメートにあっさりフラれたシュミット(ジョナ・ヒル)。7年後にポリス・アカデミーで再会した二人は、改めて友達となり、互いに助け合って卒業。しかし、さっそく現場でドジを踏んで、青少年犯罪班21ジャンプストリート署のディクソン警部(アイス・キューブ)の下に配属されることになる。二人は、若者の間に流行する新しい麻薬の販売ルートを探るため、兄弟に化けて高校に潜入することになるのだが、転入早々、自分の名前を間違え、互いに苦手な役割を演じるはめになって…。

 オリジナルの<21ジャンプストリート>はアメリカで1988年から1991年まで5シーズン放映された(ジョニー・デップはシーズン4で降板)。麻薬密売、売春、自殺といったティーンの問題を真面目に扱うシリーズだった。それをリメイクしようと思いついたのは才人ジョナ・ヒルで、原案と製作総指揮も担当。『マネーボール』と『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でアカデミー助演男優賞に2度ノミネートされ、シリアスな演技でも注目を集めている。ヒルが共演を打診したのは『ホワイトハウス・ダウン』のチャニング・テイタム。撮影当時29歳のヒルと31歳のテイタムが高校生に扮するのだから、コメディになるのは必定。今年のカンヌ映画祭でベネット・ミラーが監督賞を受賞した最新作『フォックスキャッチャー(原題)』のレスラー役でアカデミー賞ノミネートが噂されるテイタムだが、コメディ演技でも達者なところを披露(冒頭の“本物の”高校生に扮した彼のブラピっぽい髪型が笑える)。ヒルと共に製作総指揮にも名を連ねているから、よほどコメディが気に入ったのだろう。他に、口うるさい警部に元ラッパーで俳優・映画監督のアイス・キューブ。麻薬ルートの鍵を握る高校生エリックに『グランド・イリュージョン』の注目株デイヴ・フランコ(ジェームズ・フランコの弟)と豪華。オリジナル版の名コンビ、ジョニー・デップとピーター・デルイーズのアッと驚く特別出演もあるのでお楽しみに。監督はアニメ『くもりときどきミートボール』、『LEGOムービー』で知られるフィル・ロードとクリストファー・ミラーの、こちらも名コンビだ。

 一見、小ネタ満載のおふざけ映画だが、高校時代にプロムに行けずに終わった二人が、潜入捜査というセカンドチャンスを生かして、不完全燃焼だった高校生活をやり直す、というきちんとしたストーリーラインもあって、この辺は、さすがハリウッド映画だ。二人が世代のギャップを乗り越え、周りの高校生たちと打ち解けていく姿が可笑しく楽しい。アメリカで1億ドルを大幅に超える大ヒットになったのも納得だ。ちなみに、今年、続編『22ジャンプストリート』(今度は高校ではなく、大学に潜入する)が公開されて前作を上回る大ヒットとなり、続々編『23ジャンプストリート』(どこに潜入するかは不明)の製作も決定した。

 ジョナ・ヒル、チャニング・テイタムと、まさに上昇気流に乗った人気スターが共演しているのに日本未公開なのが不思議なくらい。ギャグがちょっぴり下品だからだろうか?

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ライター 斎藤敦子のプロフィール

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