映画の処方箋
Vol.083

「ニュー・シネマ・パラダイス」

2012/05/11/UP


映画祭で受賞するということ。

海から爽やかな風が吹き込んでいる部屋で、老いた母親がローマに住む息子サルヴァトーレ(ジャック・ペラン)に電話を掛けている。ローマで映画監督をしている彼は、仕事で忙しく、もう30年も故郷に帰っていない。妹は諦め顔で「知らせても無駄だ、もう忘れているに違いない」と嘆く。それはサルヴァトーレが幼い頃から父親のように慕っていた映写技師アルフレード(フィリップ・ノワレ)が死んだという知らせだった。深夜帰宅し、訃報を聞いたサルヴァトーレの思いは遙か昔に遡る。戦後まもないシチリア。戦争で父親を亡くし、内職と幼い妹の世話で忙しい母親にほっておかれた彼は、映画館パラダイス座に入り浸り、頑固な映写技師アルフレードと仲良くなって、映画の扱い方を始め、様々なことを彼から教えてもらったのだった…。
 
誰もが一度は聞いたことがあるエンニオ・モリコーネの郷愁を誘うメロディー、子供時代のサルヴァトーレを演じたトト・カシオ少年の愛くるしい笑顔、名優フィリップ・ノワレの燻し銀の演技、貧しくも愛すべきシチリアの人々の生活、胸を打つラスト・シーン…。監督は長編映画2作目、弱冠33歳の新鋭ジュゼッペ・トルナトーレ。アカデミー賞外国語映画賞を始め、世界中の映画賞を受賞した“映画史上に燦然と輝く、感動映画の金字塔”(DVDジャケット)という宣伝文句にも納得の名作で…


| 1 | 2 | 3 | 4 |

映画の処方箋バックナンバー

ライター
斎藤敦子
映画評論家。パリで映画編集を学んだ。フランス映画社宣伝部から90年にフリーとなる。 G・ノエ、グリーナウェイの諸作品を字幕翻訳。最新作は「麦の穂をゆらす風」。 「ピアノ・レッスン」(新潮文庫)「奇跡の海」(幻冬舎文庫) 「パリ快楽都市の誘惑」(清流出版)などの翻訳書も。


▲ページTOPへ




𜳰TOP


(C)1989 CristaldiFilm


Copyright(c)2011 ムービープラス
All Rights Reserved.