TV FESTIVAL DE CANNES|日本オフィシャル・ブロードキャスター|カンヌ映画祭スペシャル2015

5.24[sun]第68回カンヌ映画祭受賞結果発表!

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Local Report|現地レポート

まつかわゆま

2015/05/14 12:14:13 UP

オープニング上映は少年問題を描くシリアスな『胸を張って』

始まりました、第68回カンヌ国際映画祭。
オープニングの上映は『胸を張って』(原題STANDING TALL)。
6才の時に母に見捨てられ、15才になった少年マロニーは暴力事件や車の盗難・無免許運転などを繰り返し、何回も少年裁判所の女性判事の部屋に呼び出されている。ジャンキーだった母と幼い弟にしか心を開かない彼をどうにか救いたいと少年裁判所のソーシャルワーカーや判事が尽力、彼を矯正施設に送り込み、社会生活を送れるように訓練しようとするのだが。
問題家庭に育ち問題を起こす子どもたちの更生プログラムについての物語という社会性の強い映画がオープニングに選ばれることは、記者たちに取っても少々とまどいがあるようだ。記者会見の質問は監督と少年裁判所の引退を間近に控えた女性判事役を務めたカトリーヌ・ドヌーブに集中した。
出演を決めた理由を聞かれたドヌーブは
「ニュースなどで少年たちの事件のことを見ることは多いけれども、彼らのことを更生させようと日々努力を重ねている人々についてはよく知らない人が多いと思います。私もその一人でした。この脚本には、子どもたちのたちのために仕事をしているけれど社会の影に隠れている人たちの姿に光を当てるという目的があります。実際にヒアリングをしてみると、彼らの忍耐深さや子どもの話に耳を傾けようという熱意を感じました。声のトーンや聞き取りの方法、子どもたちの側に立っていると理解させようという態度などが彼らの一つの特徴になっていると思います。この子どもも親も判事たちも何回も失敗します。けれど、救いの手を差し伸べることを諦めない。ワイルドな方法でしか自分を表現できない子供達に、愛と平穏を教え教育の機会を作り、社会に戻していくことが大切なのです」という。
自らも更生した不良少年で今はソーシャルワーカーをしているヤンを演じたブノワ・マジメルも
「この作品はヒューマニティに基づいているところがいいと思う。ネガティブではなく、チャレンジすることの大切さを描いている」
と語る。
マロニー役を演じたロッド・パラドは大工の養成コースに通う少年だったがキャスティングデイレクターに発見され映画に出演することになった。
「マロニーと僕はそんなに似ていないけれど、彼の感情は分かるところもある。映画を見るのは好きだけれど自分が俳優になるなんて思ってもみなかった。やってみると面白いし色々な人と会えるし、俳優を続けられたらいいと思っているところです」
カトリーヌ・ドヌーブという伝説的な大女優との共演についても「偉大な女優と共演できて光栄です」といいながら、映画に出るまではあまり知らなかったという様子を隠さない。それを監督とドヌーブは心配なような、可愛いような眼差しで見つめていた。
話は変わって、現在フランス映画界にはスターがいないと嘆いてましたよねと聞かれたドヌーブ、
「それが問題よね。ソーシャルネットワークの責任もあると思うわ。プライベートを自分自身で流すスターも多いし、観客もそれをみているからスターの神秘性と言うものがなくなっている。夢がないじゃない、秘密も神秘性もないスターなんて、ね」
とはいえ、そんな今でも神秘性のある大スターなだけにこんなオマケも着いてしまう。
話題のシャルリー・エブド誌の最新号はカンヌ国際映画祭に合わせて発売されたのだが、その表紙でエブド風にカリカチュアライズされ描かれているのがドヌーブなのだ。その本を見たかと聞かれたドヌーブ。
「見ていないけれど、まぁ、笑えるくらいの絵であればいいわね」と答え、会場からの拍手と笑いを巻き起こした。さすが、大人、大女優、である。

現地レポーター

マドモワゼル・ウオ子(特派員)
マドモワゼル・ウオ子(特派員)

性別は女。5月9日生まれ、神谷町出身。丸の内某ビル内水槽在住。カンヌ映画祭暦10年目!今年も不屈の精神でレポートに挑むわよ。チャームポイントは大きな瞳とバサバサなまつ毛。欠点は面食い。イケメンを見るとついつい目がハートに。好きな映画は「ズーランダー」。

立田敦子(映画ジャーナリスト)
立田敦子(映画ジャーナリスト)

大学在学中に編集&ライターの仕事を始め、映画ジャーナリストへ。「エル・ジャポン」「フィガロ」「GQ JAPAN」「すばる」「In Red」「キネマ旬報」など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、セレブの美容・ファッション事情に精通していることでも知られる。

石津文子(映画評論家)
石津文子(映画評論家)

a.k.a. マダム・アヤ子。足立区出身。洋画配給会社、東宝東和に勤務後、ニューヨーク大学で映画製作を学ぶ。現在「CREA」「ELLE JAPON」「キネマ旬報」ほかに執筆。また作家の長嶋有氏と共に映画トークイベント「映画ホニャララ はみだし有とアヤ」を開催している。好きな監督はクリント・イーストウッド、ジョニー・トー、ホン・サンス、北野武、ビリー・ワイルダーら。

まつかわゆま(シネマアナリスト)
まつかわゆま(シネマアナリスト)

演劇に明け暮れた大学卒業後、女性誌編集者を経て映画ライターに。映画から時代を読むシネマアナリストをめざし、雑誌・テレビ・ラジオ・ウェブなどに書いてしゃべって四半世紀を超えました。東放学園講師など、先生業も。現在、大学院でドキュメンタリー映画を研究中、第三の青春を謳歌しています。著書に『映画ライターになる方法』(青弓社)、『シネマでごちそうさま』(近代映画社)など。

まんねん(特派員)
まんねん(特派員)

大学卒業後、約10年間TVCM制作に携わり、その後ムービープラスへ。自称映画好き。今年痺れたのは『セッション』。最近は、ダルデンヌ兄弟やテリー・ギリアム監督にインタビューするなど。7年ぶりにカンヌへ参戦。