TV FESTIVAL DE CANNES|日本オフィシャル・ブロードキャスター|カンヌ映画祭スペシャル2014

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2014/06/06 UP

メルマガ限定コラム ムービー+1キーワード
カンヌ映画祭を総括する

終わってみれば満遍なく評価の高かった『冬の眠り(原題)』がパルム・ドールに輝き、トルコの名匠ヌリ・ビルゲ・ジェイランに念願の棕櫚のトロフィーを授与し、ついでにジェイラン作品としては初の日本公開も決まって、結果もお天気も順当だった今年のカンヌ映画祭。期待された河瀨直美の『2つ目の窓』は無冠に終わったが、監督賞1度、グランプリを2度も受賞済みのジェイランに比べれば、カメラドールとグランプリ各1の河瀨はキャリアとしてはまだまだこれからだ。

既報の通り、今年のカンヌ映画祭は常連監督の作品が並んだ。ティモシー・スポールが男優賞を獲得したマイク・リー監督の『ミスター・ターナー(原題)』は、時代に先んじた風景画家ターナーの後半生をじっくり描いた重厚な作品だったし、ジュリアン・ムーアが女優賞を獲得したデヴィッド・クローネンバーグの『スターへの地図(原題)』はハリウッドの裏側を皮肉たっぷりに描いた群像劇。ハリウッドで実現しようとしていたテレビ・シリーズの企画をメチャクチャにされたクローネンバーグの恨みが込められた怪作だった。

期待以上に面白かったのはベネット・ミラーの『フォックスキャッチャー(原題)』だ。レスリング・フリースタイルの金メダリストに扮したチャニング・テイタムとマーク・ラファロの体作りを含めた役作りも凄かったが、彼らのスポンサーとなる孤独な億万長者を演じたスティーヴ・カレルが、普段の彼とはまるで別人の出色の出来。これは、とりもなおさず自分の撮りたい世界をきっちり映像化できたミラーの手腕でもあり、納得の監督賞だった。

今年、秘かに期待していたのは、カンヌの申し子グザヴィエ・ドランの初コンペ出品でのパルム・ドール受賞だった。その『マミー(原題)』は、監督デビュー作の『マイ・マザー』とテーマはほぼ同じ。画面構成や近未来の設定などに工夫があったにせよ、デビュー作の衝撃に比べてパンチに欠けた。ドラン自身も秘かにパルム・ドールを狙っていたようで、記者会見ではがっかりした顔を見せていたが、それでも審査員賞は立派だ。

驚いたのは、ジャン=リュック・ゴダールの『言語よ さらば(原題)』だ。映像表現の革命児ゴダールらしい3Dの概念を超えた3D作品(しかも一部スマホで撮影)で、常に前衛を歩いてきた鬼才の面目躍如。83歳の巨匠が最年少25歳の若手(ドラン)と同じ賞を分かち合ったというのも映画の祭典らしい出来事。

賛否両論だったのはグランプリの『驚異(原題)』。自身もドイツ人の父親を持つ監督のアリーチェ・ロルヴァケルが、自伝的要素を取り入れながらも完全にフィクションとして作った低予算映画で、潤沢な予算をたっぷり遣った他作品に比べると、いかにも小品だが、子供達の表情や心の動きを手持ちカメラで丁寧に追いかけて、小さな世界を深く描いていた。この映画の良さを最も高く評価したのは、おそらく審査員長のジェーン・カンピオンではないだろうか。

賞には漏れたが、話題になったのはベルトラン・ボネロの『サンローラン(原題)』だ。9月に日本公開されるジャリル・レスペールの『イヴ・サンローラン』との完全な競作だが、財団の全面的なバックアップによってサンローランの生涯を丁寧に追っていく前者に比べ、60年代から80年代に絞って創作の魔力と苦しみに苛まれる天才にスポットを当てた後者は、伝記映画としては不完全だが、サンローランを演じたガスパール・ウリエルが予想以上に素晴らしく、特に彼の美しい裸体にはうっとりした。この映画が上映されたなら、おそらくは山のような女性ファンが劇場に詰めかけるだろうが、日本公開は未定だし、残念ながら日本には映倫の検閲というものがある。

2014/05/09 UP

『ツリー・オブ・ライフ』
時を超えたファミリー・ムービー

『ツリー・オブ・ライフ』は伝説的な名監督テレンス・マリックの5本目の長編で、2011年のカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した。

主人公は成功した実業家ジャック(ショーン・ペン)。彼はテキサス州ウェイコで過ごした少年時代を振り返る。父(ブラッド・ピット)と母(ジェシカ・チャスティン)と2人の弟と共に過ごした無邪気な日々。父から音楽の才能を受け継いだ弟は19歳で死んだ。子供には厳格だが、実社会では挫折した父。信仰深く優しい母。自分はどこから来て、どこへ行くのか。ジャックの心に様々な思いが去来する…。

“ツリー・オブ・ライフ”、生命の樹とは、聖書ではエデンの園の中央に植えられた木のことで、この実を食べると永遠の命を得られると言われる。神話では崇拝の対象となった聖なる木、宇宙樹のこと、生物学では生命の進化の関係を表す系統樹のことを言う。マリックはこれらの意味を様々に変奏して使いながら、1本の“生命の樹”を映画で形作っていく………《 続きを読む

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2014/04/25 UP

カンヌ映画祭ラインナップ発表
今年のカンヌ映画祭の見どころは?

今年67回目となるカンヌ国際映画祭、4月17日にパリで記者会見が開かれ、コンペティション部門のラインナップが発表になった。

まず驚いたのはジャン=リュック・ゴダールの登場。『言語よ、さらば(原題)』というタイトルも、いかにもゴダールだが、盟友フランソワ・トリュフォーは既に鬼籍に入り、アラン・レネも今年亡くなったなか、常に先頭に立って映画を革新し続ける鬼才の旺盛な創作活動を頼もしく思う。

映画祭常連組では、パルム・ドール受賞2回のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟の『2日と1夜(原題)』、受賞1回のケン・ローチの『ジミーズ・ホール(原題)』、ヴェネツィア映画祭で金獅子賞を受賞したアンドレイ・ズビヤギンツェフの『リヴァイアサン(原題)』など。日本からは河瀬直美の新作『2つ目の窓』がエントリー。今年は中国も韓国もゼロで、河瀬直美が女の細腕でアジアを一身に背負う。

中でも楽しみなのはマイク・リーの『ミスター・ターナー(原題)』だ。夏目漱石の<坊ちゃん>にも登場するイギリスの風景画家ターナーの伝記映画で、『トプシー・ターヴィー』でオペレッタ<ミカド>で有名なギルバート&サリヴァンを見事に料理して見せたリーの手腕に期待。もう1本はデヴィッド・クローネンバーグの『スターへの地図(原題)』。前作『コズモポリス』で金融が支配する現代社会を皮肉った彼が、今度はハリウッドを舞台にアメリカ社会を皮肉ってみせる。出演は前作に引き続きロバート・パティンソンで、ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ、ジョン・キューザックとエキセントリック系の俳優が並んでいるのも楽しみ。

地元フランスからは、オリヴィエ・ダアンの『グレース・オブ・モナコ(原題)』がオープニングを飾り(ただしコンペ外)、ベルトラン・ボネロの『サンローラン(原題)』、オリヴィエ・アサヤスの『シルス・マリア(原題)』、ミシェル・アザナヴィシウスの『ザ・サーチ(原題)』の4本(ゴダールはスイス人)。

『グレース・オブ・モナコ(原題)』はニコール・キッドマンがモナコ王妃となったグレース・ケリーを演じる伝記映画、『サンローラン(原題)』は、もちろんファッション・デザイナーのサンローランの伝記映画で、『ハンニバル・ライジング』のガスパール・ウリエル主演。今年は伝記映画が多い印象。なぜかカンヌではいまだ無冠なオリヴィエ・アサヤスの『シルス・マリア(原題)』は、ジュリエット・ビノシュ主演で、カサヴェテスの『オープニング・ナイト』とマンキウィッツの『イヴの総て』を合わせたような映画のよう。アサヤスとは逆に初コンペの『アーティスト』で男優賞を獲った勢いで米アカデミー賞まで制してしまった幸運児ミシェル・アザナヴィシウスの『ザ・サーチ(原題)』は、フレッド・ジンネマンの『山河遙かなり』のリメイク(おそらくはバロディー版)。舞台を第二次大戦後から内戦後のチェチェンに移し、モンゴメリー・クリフトが演じたGIをアネット・ベニングが演じる。

アメリカ勢は2本。まずは長編監督デビュー作でカンヌ初登場した『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』で男優賞を受賞したトミー・リー・ジョーンズの2度目の登場。その『ホームズマン(原題)』は、『ラスト・シューティスト』などで知られるブランドン・スウォースアウトの原作。開拓時代を舞台にしたロードムービーでヒラリー・スワンクとトミー・リーの主演。『マネーボール』で脚光を浴びたベネット・ミラーの『フォックスキャッチャー(原題)』は、レスリングのオリンピック金メダリストのマーク・シュルツと兄デイヴの伝記映画(今年は本当に伝記映画が多いです)。マークをチャニング・テイタム、デイヴをマーク・ラファロ、デイヴを殺害するジョン・デュポンをスティーヴ・カレル(適役)が演じる。マーク・シュルツはのちにプロレスに転向してブラジルでアントニオ猪木と関係があったり、カミングアウトしたり、なかなか興味深い人物のよう。

最後に私が最も期待している1本を。それがグザヴィエ・ドランの『マミー(原題)』で、2009年に弱冠20歳で監督週間に出品した『マイ・マザー』で3賞を独占し、“恐るべき子供”と言われたドランが、いよいよコンペに登場(5年経ってもまだ25歳!)。しかも『マイ・マザー』で強烈な母親を演じたアンヌ・ドルヴァルと『私はロランス』のスザンヌ・クレマンの共演というのも期待大だ。

さて、今年のカンヌは5月14日夜の『グレース・オブ・モナコ(原題)』上映から。
今から開幕が待ち遠しい!………《 映画の処方箋(コラム)はこちらから

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2014/03/14 UP

『イングロリアス・バスターズ』
ブラピのB級演技に注目、タランティーノ版マカロニ戦争ウェスタン。

『イングロリアス・バスターズ』はクエンティン・タランティーノの8本目の長編監督作品で、2009年度アカデミー賞8部門にノミネートされ、クリストフ・ヴァルツが助演男優賞を受賞、興行的にも記録的なヒットとなったタランティーノの代表作である(原題はInglourious Basterdsだが、正しい綴りはInglorious Bastards。タランティーノが本気で間違えたのか、わざとかは不明)。

映画は5つの章からなる。ユダヤ・ハンターと異名をとるナチ親衛隊のハンス・ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)が農家に匿われたユダヤ人一家を皆殺しにする第1章。連合軍内に結成されたアルド・レイン中尉(ブラッド・ピット)率いるユダヤ系アメリカ人の秘密部隊“イングロリアス・バスターズ”の活躍を描く第2章。第1章でランダ大佐の魔手から逃れたユダヤ娘ショシャーナ(メラニー・ローラン)がパリで映画館主になり、イタリア戦線で戦功を挙げた狙撃兵フレデリック(ダニエル・ブリュール)主演のプロパガンダ映画「国民の誇り」のプレミア上映を開くことになる第3章。その機会を利用してナチの高官を一気に片付ける“プレミア大作戦”を立案した英国軍のフェネク将軍(マイク・マイヤーズ)が、アーチー・ヒコックス中尉(マイケル・ファスベンダー)らをフランスに潜入させ、連合国側のスパイであるドイツ人女優ブリギッテ・フォン・ハマーシュマルク(ダイアン・クルーガー)に接触させる第4章。イタリア映画人に化け、ハマーシュマルクのエスコートをしてプレミア上映に現れたバスターズたちと、映画館ごとナチスを丸焼けにしようとするショシャーナを描くクライマックスの第5章である。………《 続きを読む

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2013/12/06 UP

『アーティスト』
映画のエッセンスがいっぱいに詰まったコメディ

2011年のアカデミー賞で作品・監督・主演男優など5賞をとってハリウッドを制した『アーティスト』だが、サイレント映画であるだけに、授賞式の壇上で監督のミシェル・アザナヴィシウスが口を開くまで、この作品がフランス映画であることを知らなかったアカデミー会員が多かったのではあるまいか。最新技術を使った最先端の映画ばかりが注目されるこの時代に、今では博物館でしかお目にかかれそうもない、白黒のサイレント映画を撮ろうとした彼の大きな賭けが報われた瞬間だった。

物語はごくシンプル。無声映画の大スター、ジョージ・ヴァランティン(ジャン・デュジャルダン)は、トーキー映画の到来を受け入れられず、自力で作った大作が大コケし、破産する。スターの座を追われ、妻や仲間も去り、残るは忠実な運転手クリフトン(ジェームズ・クロムウェル)と愛犬(アギー)だけ。落ちぶれたジョージに手をさしのべたのは、かつてはエキストラ、今は大スターになったペピー(ベレニス・ベジョ)だった…。………《 続きを読む

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2012/05/11 UP

『ニュー・シネマ・パラダイス』
映画祭で受賞するということ。

海から爽やかな風が吹き込んでいる部屋で、老いた母親がローマに住む息子サルヴァトーレ(ジャック・ペラン)に電話を掛けている。ローマで映画監督をしている彼は、仕事で忙しく、もう30年も故郷に帰っていない。妹は諦め顔で「知らせても無駄だ、もう忘れているに違いない」と嘆く。それはサルヴァトーレが幼い頃から父親のように慕っていた映写技師アルフレード(フィリップ・ノワレ)が死んだという知らせだった。深夜帰宅し、訃報を聞いたサルヴァトーレの思いは遙か昔に遡る。戦後まもないシチリア。戦争で父親を亡くし、内職と幼い妹の世話で忙しい母親にほっておかれた彼は、映画館パラダイス座に入り浸り、頑固な映写技師アルフレードと仲良くなって、映画の扱い方を始め、様々なことを彼から教えてもらったのだった…。

誰もが一度は聞いたことがあるエンニオ・モリコーネの郷愁を誘うメロディー、子供時代のサルヴァトーレを演じたトト・カシオ少年の愛くるしい笑顔、名優フィリップ・ノワレの燻し銀の演技、貧しくも愛すべきシチリアの人々の生活、胸を打つラスト・シーン…。監督は長編映画2作目、弱冠33歳の新鋭ジュゼッペ・トルナトーレ。アカデミー賞外国語映画賞を始め、世界中の映画賞を受賞した“映画史上に燦然と輝く、感動映画の金字塔”(DVDジャケット)という宣伝文句にも納得の名作である。けれども、私にとっての『ニュー・シネマ・パラダイス』は、単なる作品という以上に、映画祭で受賞するということはどういうことかを教えてくれた、忘れられない映画である。………《 続きを読む

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